ケイコ・フジモリ(読み)けいこ・ふじもり

知恵蔵 「ケイコ・フジモリ」の解説

ケイコ・フジモリ

南米ペルーの政治家で、中道右派野党「フエルサ・ポプラル」の党首。1975年生まれ。90年から10年間、ペルー大統領を務めた末、汚職スキャンダルでペルーを出国したアルベルト・フジモリの長女で、日系3世。
94年に両親が離婚したため、19歳からフジモリ元大統領が罷免されるまでファーストレディーを務めた。高校卒業後は、米国のニューヨーク州立大学ストーニーブルック校に入学し、97年にボストン大学で経営学学位を取得した。2008年にはコロンビア大学でMBAを取得した。米国で在学中の06年、一つの選挙区としてはペルー史上最多の票を獲得して国会議員に初選出される。
08年、「フエルサ2011」(後のフエルサ・ポプラル)を創設し、11年に「フジモリ政治」の継承を掲げて大統領選挙に初出馬するも、決選投票で51.4%の票を獲得した「勝利するペルー」 のオジャンタ・ウマラに敗れた。
2016年4月、ウマラ大統領の任期満了に伴う大統領選で他の候補に大差をつけて首位に立ったが、当選に必要な過半数には届かず、クチンスキー元首相との決選投票が6月5日に行われた。
父の強硬路線を受け継ぎ、圧倒的知名度を背景に経済成長や治安対策を訴えて幅広い支持を集めており、フエルサ・ポプラルは現在、野党として最大議席数を持つ。一方で、フジモリ元大統領の強権的な政治手法に対する根強い批判はあり、6月の決選投票ではクチンスキー元首相が反フジモリ派有権者の支持を集めて、フジモリ派と反フジモリ派の闘いになるとされていた。
開票結果は、クチンスキーが約858万7千票で50.12%、ケイコが約854万6千票で49.88%と、得票率0.24ポイントの差でクチンスキー元首相の勝利が確実となった。10日にはケイコが敗北を認め、「責任ある野党となる」と発言をした。

(葛西奈津子 フリーランスライター/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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