けいせい倭荘子(読み)けいせいやまとそうじ

改訂新版 世界大百科事典 「けいせい倭荘子」の意味・わかりやすい解説

けいせい倭荘子 (けいせいやまとそうじ)

歌舞伎狂言。時代物。6幕。初世並木五瓶作。通称《蝶の道行》。1784年(天明4)閏1月大坂嵐他人座(中の芝居)初演配役北畠靫負之介(ゆきえのすけ)・大和の佐国を2世嵐三五郎,弥生姫・妹小槙を初世沢村国太郎,越野勘左衛門を初世尾上新七など。実在した弓の名手星野勘左衛門と和佐大八郎の三十三間堂の通し矢の話を劇化した《防州苗打松(ぼうしゆうなえうちのまつ)》を増補し,これに明和年間(1764-72)京の岡崎に起きた妹殺し事件を借りて加えたもの。北畠・桃の井両家は和田雷八の奸計により断絶となり,主計正(かずえのかみ)の弟靫負之介は桃の井家の弥生姫とともに,旧臣越野勘左衛門にかくまわれる。勘左衛門の妹小槙は佐国と恋仲だが,勘左衛門は弥生姫の身替りに小槙の首を斬り,佐国は自害する。佐国の父軍次兵衛は雷八の実の父であったが改心しお家再興をめざす。小槙・佐国の亡魂が蝶となって道行する五段目で名高い。近年武智鉄二の演出により天明歌舞伎として復活。以来,《蝶の道行》だけが上演されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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