化学辞典 第2版 「ケイ化物」の解説
ケイ化物
ケイカブツ
silicide
ケイ素と,より陽性の金属元素との間の化合物.金属とケイ素とを混合して融解するか,SiO2と金属(+還元剤)の反応で得られる.金属間化合物に似て,硬く,銀白色で,金属光沢をもち,周期表4~10族元素との化合物は高融点である.ケイ化物は一般に還元性を示し,とくに,1~3族元素の化合物(Li6Si2,CaSinなど)は強い還元剤である.フェロシリコン(Si-Fe間の各種の化合物)(フェロアロイ)は,製鋼操作の脱酸素剤,Mgの製造における還元剤に用いられる.また,Fe-Si系材質は磁性材としても用いられる.ケイ化物は耐熱性の大きいものが多く,MoSi2は1700 ℃ の高温に耐えるので,抵抗,発熱体などに用いられ,TiSi3,CrSi3なども耐熱材に利用される.また,CrSi2-CoSiは熱電素子に用いられる.V3Siは比較的高い臨界温度(17.0 K)で超伝導を示す.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報