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金属間化合物 きんぞくかんかごうぶつintermetallic compound

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

金属間化合物
きんぞくかんかごうぶつ
intermetallic compound

2種以上の金属が簡単な整数比で結合した化合物。通常固体結晶としてのみ存在し,融解または高温で解離し,中間の温度域にしか存在しないものもある。成分の1つが半金属であっても金属的性質が強く,合金中によく析出するものは金属間化合物として扱う。結晶構造は成分金属のどれにも似ない複雑なものが多いが,ある種の超格子では母固溶体と同じ比較的簡単なものもある。原子結合の要因は,イオン結合的要素の強いもの,原子寸法の整合によるもの,価電子数の特殊な整合によるもの (電子化合物) など,種々である。一般に性状は母金属より硬くもろい。実用合金はこれが析出すると機械的性質に著しい影響を与える。β黄銅がα黄銅より硬いのは化合物 CuZnの析出のためであるし,通常の鋼の硬さは炭化物 Fe3C の存在による。金属間化合物はそれ自身が成分金属を固溶することがあり,その固溶体相を中間相という。たとえば CuZnは常温で Zn47%から 50% (電量組成) までの中間相βの領域をもっている。化合物相あるいは中間相は,合金の状態図上でβ,γ,δ,…などのギリシア文字で表わされる習慣である (→固溶体 ) 。

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知恵蔵の解説

金属間化合物

複数の金属元素が一定の比率で結合した化合物。半金属や窒素硫黄などの非金属元素を構成元素とするものもある。いずれも構成元素とは全く異なる構造や予想もつかない物性を有する。例えば、超耐熱合金の構成成分であるニッケル3アルミニウムは1000℃近い高温になるほど強度が上がるという、一般の材料とは逆の特性を示す。超硬材料、耐摩耗材料としての応用は古く、磁性材料半導体材料、光学材料はほとんどが金属間化合物といえる。超伝導合金水素吸蔵合金形状記憶合金などの機能材料のほか、超合金などの構造材料の構成成分でもある。

(岡田益男 東北大学教授 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

きんぞくかん‐かごうぶつ〔‐クワガフブツ〕【金属間化合物】

2種以上の金属元素が結合し、新しい性質をもつようになった化合物合金に多くみられる。

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百科事典マイペディアの解説

金属間化合物【きんぞくかんかごうぶつ】

2種またはそれ以上の金属元素が簡単な割合で結合し,成分元素とは違った新しい性質をもつようになった化合物をいう。合金に多く,たとえば銅合金ではCuZn,Cu5Zn8,CuZn3とか,Cu5Sn,Cu3Snなど。
→関連項目合金固溶体メカニカル・アロイング

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世界大百科事典 第2版の解説

きんぞくかんかごうぶつ【金属間化合物 intermetallic compound】

金属元素と金属元素との間に形成される化合物で,金属的な性質を示す固体結晶である。化合物といっても気体分子化合物とはまったく異なり,合金の構成要素(相)の一つとして金属材料の組織の中に出現する固相であるので,中間相intermediate phaseという呼び方もある。単純な原子価の考え方が適用できない結晶も数多く含まれる。 結晶を特徴づけるのは規則正しい格子点の配列である。格子点はいくつかの等価の位置に分けられる。

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大辞林 第三版の解説

きんぞくかんかごうぶつ【金属間化合物】

二種類以上の金属元素どうし、または金属元素と非金属元素が結合してできた化合物。合金の一種とみなせるが、一般の合金には見られない特性をもつものがあり、半導体・超電導材料・永久磁石・耐熱合金などに用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

金属間化合物
きんぞくかんかごうぶつ
intermetallic compound

金属元素と他の金属元素あるいは非金属元素とが簡単な整数比の原子組成をもつ相を形成し、その結晶構造にも規則性があるとき、これを金属間化合物という。合金の一種ともみえるが、連続的に組成が変化しうる一般の合金とは異なり、化学量論的定比組成を示すのが特徴である。原子間の化学結合は金属結合性であり、組成式中の各原子がもつ価電子(s電子とp電子)数の総和と原子数との比が同じになるものは同じ構造をとる、というヒューム‐ロザリーの規則が成立する例が知られている。たとえばCuZn、AgCd、Cu3Al、Cu5Snはいずれもこの比が3対2となり、塩化セシウム型、あるいはそれと本質的に等価な結晶構造をとる。
 13族元素と15族元素との1対1の化合物は半導体になることが知られているが、AlAs、AlSb、GaP、GaAs、InP、InAsなどはいずれもダイヤモンドと同じ原子配列をとる閃亜鉛鉱型構造(せんあえんこうがたこうぞう)をもっている。[岩本振武]

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