単体が金属を形成する元素をいう。長周期型周期表で図の左下方が一般に金属元素である。これに対し、右上方が非金属元素であるが、その中間的な性質をもつ元素もある。たとえば、ゲルマニウムGe、ヒ素As、ビスマスBi、セレンSe、テルルTe、アスタチンAtなどは金属性の単体と非金属性の単体とがあり、半金属ということもある。一般に金属元素の水酸化物は塩基性で、酸の水素と置換して塩をつくり、結晶中ではイオンとして存在することが多い。
[中原勝儼]
『田中良平著『耐熱合金のおはなし』(1990・日本規格協会)』▽『長谷川良佑著『レアメタル――機能材料の金属元素』(1992・産業図書)』▽『糸川嘉則・五島孜郎編『生体内金属元素』(1994・光生館)』▽『桜井弘著『金属は人体になぜ必要か――なければ困る銅・クロム・モリブデン…』(1996・講談社)』▽『日本化学会編『教育現場からの化学Q&A』(2002・丸善)』▽『日本化学会編『実験化学講座23 無機化合物』第5版(2005・丸善)』
単体が金属の性質をもつ元素。元素の大多数は金属元素である。ふつう,周期表の上で,ホウ素B-ケイ素Si-ヒ素As-テルルTe-アスタチンAtを斜めに結んだ線を,ほぼ金属元素と非金属元素の境界線とし,その左側,下側の元素をすべて金属元素,右側,上側(および境界線上)の元素を非金属元素として元素を分類することが多い。しかし境界線付近のケイ素,ゲルマニウム,スズ,ヒ素,アンチモン,ビスマス,テルルなどの元素はしばしば両者の中間的な挙動を示し,条件によって金属的な形態と非金属的な形態をとるものや,半導体となるものなど,一連の特異な性質が現れる。そのため,これらを〈半金属metalloid〉と呼ぶこともある。金属元素はまた〈化学変化によって陽イオンになりやすい元素〉,すなわち電気的陽性の元素とも定義される。ポーリングの電気陰性度の表を見ると,その値が大きい元素は非金属元素,1.7より小さい元素は一般に金属元素で,2.0前後の元素がいわゆる半金属になることが知られる。金属元素はその密度(比重)によって軽金属・重金属に,イオン化傾向によって貴金属・卑金属に,また周期表上の位置によってアルカリ金属・アルカリ土類金属・土類金属元素,鉄族元素,白金族元素などに分類される(各項参照)。周期表の中央を占める遷移元素はすべて金属であるから,遷移金属とも呼ばれる。
執筆者:曽根 興三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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