日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲッツイ」の意味・わかりやすい解説
ゲッツイ
げっつい
Barnabas von Géczy
(1887―1971)
ハンガリー出身のバイオリン奏者、サロン音楽指揮者。ロマ(かつてはジプシーとよばれた)の血を引く軍人貴族の家庭に育つ。生地ブダペストの音楽院でバイオリンを学び、第一次世界大戦後、ブダペスト歌劇場のバイオリン・ソリストを振り出しにクラシック界で活躍していたが、1930年ごろポピュラー音楽に転向して自分の楽団を結成、ドイツを中心にヨーロッパ各地の社交場やホテルで活動した。彼のソロを中心に、巧みな編曲とみごとなアンサンブルによる優雅で気品ある演奏によって人気を博した。日本でも37年(昭和12)コンチネンタル・タンゴの名曲『碧空(あおぞら)』のレコード発売で広くその名を知られた。第二次大戦後も50年代中ごろまで録音活動があったが、ミュンヘン近郊に引退、同地に没した。
[永田文夫]