アンサンブル

デジタル大辞泉 「アンサンブル」の意味・読み・例文・類語

アンサンブル(〈フランス〉ensemble)

《共に、の意》
服飾で、ドレスコート上着スカート、靴とバッグなどの材質・色調の調和のとれた組み合わせ
音楽用語。
㋐小人数の合奏・合唱。また、合奏団合唱団
㋑演奏の調和のぐあい。
演劇用語。
㋐主役級以外の共演者団。特に、バレエミュージカルの群舞団。アンサンブルキャスト。
演技や歌の、全体の調和のぐあい。また、その効果。
[類語](1背広三つ揃いセパレーツツーピーススーツ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「アンサンブル」の意味・読み・例文・類語

アンサンブル

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] ensemble 「共に」の意 )
  2. 音楽用語。
    1. (イ) 二人以上でする歌唱または演奏。重唱。重奏。
      1. [初出の実例]「和洋両琴の珍らしいアンサンブル」(出典:純粋の声(1935)〈川端康成〉)
    2. (ロ) 小人数の合奏団、または室内楽管弦楽の中のあるグループ
  3. 演奏、演劇などや服装、配色などの調和の具合。「アンサンブルがいい舞台」
    1. [初出の実例]「バロック風の細長い窓と白い円柱のアンサンブルが、犯し難い気品をたたえて」(出典:蒼ざめた馬を見よ(1966)〈五木寛之〉三)
  4. ドレスとコート、スカートとジャケットなどを、共通な生地、材質、柄、デザインなどで調和よくそろえた組み合わせの婦人服。
    1. [初出の実例]「ベルトの下で水際だって美しく締ってゐるアンサンブルの、胴のあたりを」(出典:寝園(1930‐32)〈横光利一〉)
  5. 和服で、長着と羽織を同じ布地でしたてたもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンサンブル」の意味・わかりやすい解説

アンサンブル
あんさんぶる
ensemble

フランス語で統一、調和を意味することばで、服飾では、組み合わせて着ることを意図してデザインされた、二つ以上のものからなる服の一そろいのことをいう。ジャケット、スカート、ズボンブラウスセーター、コートなどが、素材、色柄、形のうえで、それぞれ同質または異質の関連性をもち、それらを組み合わせることによって、初めて全体的調和が生まれるものをいう。服だけではなく、装身具、バッグ、靴、靴下、帽子、手袋などまで含めてデザインされる場合もある。なお、音楽では複数による演奏(重唱、重奏)をさす。

[田村芳子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンサンブル」の意味・わかりやすい解説

アンサンブル
ensemble

元来フランス語の一緒に,ともになどを意味する副詞,あるいは統一,調和を意味する名詞で,複数の品が寄集って一体になったものの意。服飾ではひとそろいの衣服や装身具を意味し,前者には同一の生地を用い,関連のある統一のとれたデザインにまとめられたジャケットとスカート,ジャケットとドレスの組合せなど,後者には同じ材料や色,柄によるネックレスとイヤリングの一組などがある。また音楽では,2人以上数人の重唱や小人数による合奏のグループ,室内楽や管弦楽におけるそのなかの特定の楽器群をいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「アンサンブル」の意味・わかりやすい解説

アンサンブル(音楽)【アンサンブル】

フランス語で〈一緒に〉の意。最初は,グループが独奏的にではなく協力することをさしたが,今日では,室内楽やオペラの中の重唱やそのための作品を示すのに使われる。アンサンブルの良否をいうのは,最初の意味である。
→関連項目室内楽

アンサンブル(衣服)【アンサンブル】

布地,色,柄,デザインなどを統一して作られた一揃いの服。コートとドレス,ジャケットとドレスなどの組合せがある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

音楽用語ダス 「アンサンブル」の解説

アンサンブル[ensemble(仏)]

合奏のこと。例えば弦楽器のみの編成ならストリングス・アンサンブル、金管楽器のみならブラス・アンサンブルなどという。また、その曲やバンドの総合的な調和を指して、「あのバンドはアンサンブルがいい」というふうにも使われる。

出典 (株)ヤマハミュージックメディア音楽用語ダスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のアンサンブルの言及

【合奏】より

…古典派からはこの関係は逆転し,合奏音楽が中心となっている。(2)フランス語のアンサンブルensembleを使った場合には,おもに重唱をさす。特に18世紀中葉以降,オペラやオラトリオの中で数人の独唱者によって重唱される部分はアンサンブルと呼ばれ,人物の心理描写にあてられることが多い。…

【スーツ】より

…婦人服にスーツ形式が見られるのは,19世紀の後半にそれまでのワンピース形式に加えて上下組合せ型の服が登場してからのことで,そのためにこの形をツーピースと呼ぶこともある。上下が異なった色柄や素材の組合せがセパレーツseparatesで,この場合には着用者が任意の服を選んで組み合わせるという意味が強く,コーディネーツco‐ordinatesやアンサンブルensembleと呼ばれる場合には,デザイナーや製造業者が2点以上の組合せをあらかじめセットしていたり,アクセサリーを含めた数点以上の組合せを示すことが多い。【高山 能一】。…

※「アンサンブル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android