内科学 第10版 の解説
コクサッキーウイルス,エコーウイルス,エンテロウイルス(ウイルス感染症)
概念
エンテロウイルスは消化管上皮で増殖する一群のウイルスであり,A群およびB群コクサッキーウイルス(coxsackie virus),エコーウイルス(echo virus),その他のエンテロウイルス(enterovirus)などに分類され,多数の血清型がある.エンテロウイルスが起こす臨床像は,非特異的な発熱,上気道感染症状,消化器症状など多彩である.夏季に多くみられる小児の無菌性髄膜炎の原因として重要であるほか,ヘルパンギーナ,手足口病,急性出血性結膜炎などが特定の血清型によって起こる. エンテロウイルス属はピコルナウイルス科の一員であり,血清型,細胞での増殖特性,病原性などによりポリオウイルス,ヒトエンテロウイルスA~D,ウシエンテロウイルス,ブタエンテロウイルスA~Bなどのウイルス種に分けられる.このなかには80以上の血清型がある.しかし,日常的にはヒトエンテロウイルスはA群およびB群コクサッキーウイルス,エコーウイルス,そのほかのエンテロウイルスなどに分類され,その上に血清型をつけて,コクサッキーA10ウイルスなどと通称される.[中込 治]
■文献
Palacios G, Casa I, et al: Human enteroviruses. In: Infectious Diseases 3rd ed (Cohen J, et al eds), pp1528-1538, Mosby-Elsevier, 2010.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報