日本大百科全書(ニッポニカ) 「コシツェ綱領」の意味・わかりやすい解説
コシツェ綱領
こしつぇこうりょう
Košický vládní program チェコ語
1945年4月5日、チェコスロバキア臨時政府が東部スロバキアのコシツェKošiceで発表した最初の政府綱領。新国家の憲法の基礎となったこの綱領は、ソ連との同盟、協力を外交政策の基本としていたが、西欧との友好の必要も強調していた。スロバキアの主権と自治権の承認、チェコ人とスロバキア人の平等を規定し、さらにカルパト・ウクライナ人の問題の解決は住民の自由意思によるものとしている。また経済面では社会主義的性格を強く打ち出し、土地なし農・小農への土地分与、金融、保険、天然資源その他の基幹産業の国有化と計画経済システムの導入を掲げている。
[稲野 強]
『矢田俊隆編『東欧史』新版(1977・山川出版社)』▽『矢田俊隆著『ハンガリー・チェコスロヴァキア現代史』(1978・山川出版社)』▽『ピエール・ボヌール著、山本俊朗訳『チェコスロヴァキア史』(1969・白水社)』