日本大百科全書(ニッポニカ) 「コブ‐ダグラス生産関数」の意味・わかりやすい解説
コブ‐ダグラス生産関数
こぶだぐらすせいさんかんすう
Cobb-Douglas production function
C・W・コブとP・H・ダグラスが1920年代にアメリカ経済の実証分析を行うに際して使用した生産関数。単にコブ‐ダグラス関数ともいう。生産量をY、資本をK、労働投入量をLとした場合に、
Y=A・Kα・Lβ (1)
で示される。ただし、A、α、βは正の定数を示す。この生産関数は次のような種々の長所をもっていたため、経済学で頻繁に使用されるようになった。まず第一に、(1)を対数表示にすれば一次式で示すことができる。第二に、α+β=1と仮定すれば、一次同次関数となり、規模に関する収穫不変が成り立つ。このとき資本と労働はそれぞれの限界生産力に等しい報酬を受け取るとすれば、αは資本分配率を、β(=1-α)は労働分配率を示すことになる。このとき全生産量は過不足なく分配され尽くすことが証明できる。第三に、コブ‐ダグラス生産関数は代替の弾力性が1であるため、労働サービスと資本財サービスの相対価格がどのように変化しても、資本と労働の分配率は変化しないことがいえる。
[畑中康一]