朝日日本歴史人物事典 「コポアヌ」の解説
コポアヌ
大正期の女性のユーカラ伝承者。北海道沙流郡字紫雲古津村(平取町)の人。同村の代々首長の家のレンカウクに嫁し,1男1女をもうけるが若くして寡婦となる。大正1(1912)年1月,東京上野で開催の拓殖博覧会に参加のため上京中にアイヌ語研究者の金田一京助に出会い,求めに応じユーカラを語る。翌年,コポアヌ同郷の「盲目の詩人」といわれたユーカラ伝承者ワカルパを金田一に紹介,金田一はワカルパと一夏寝食を共にし,多くの叙事詩,神話を筆録した。金田一は,ワカルパを「アイヌのホメロス」と高く評価したが,ワカルパは同年12月に死去した。以後,金田一とコポアヌは,たがいの家を訪問することたびたび。コポアヌは,ヤヤシ所伝の「葦丸の曲」その他を語り伝え,金田一のアイヌ語研究の教師となって金田一を助けた。<参考文献>金田一京助『北の人』,金田一京助博士記念会編『金田一京助先生思い出の記』
(海保洋子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報