改訂新版 世界大百科事典 「コルベ=シュミット反応」の意味・わかりやすい解説
コルベ=シュミット反応 (コルベシュミットはんのう)
Kolbe-Schmitt reaction
単にコルベ反応ともいう。フェノール類のカルボキシル化反応によって芳香族ヒドロキシ酸を合成する反応。1860年ドイツのA.W.H.コルベはフェノールのナトリウム塩(ナトリウムフェノキシド)を180~200℃で溶融し,これに二酸化炭素を吹き込んでサリチル酸を得たが,85年,シュミットR.Schmittがこの反応を改良し,加圧下に120~140℃で二酸化炭素を通ずれば好収率でサリチル酸が生成することを見いだした。これにちなんでコルベ=シュミット反応と呼ぶ。この反応は工業的にも重要である。フェノールのカリウム塩を用いると,カルボキシル基はオルト位ではなく,パラ位に導入されてp-ヒドロキシ安息香酸を生ずる。水や湿気のない条件で行わなければならないが,レゾルシンやヒドロキノンなどの多価フェノールにも適用される。
執筆者:友田 修司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報