日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンビツキ」の意味・わかりやすい解説
コンビツキ
こんびつき
Tadeusz Konwicki
(1926―2015)
ポーランドの小説家、映画監督。第二次世界大戦後にデビューした現代ポーランドを代表する作家の一人。パルチザン闘争の体験から、つねに戦争中のモラルの問題と戦争の現代人の意識への影響を追求した。『現代夢占い』(1963)は最大の傑作とされる。反体制作家として「連帯」運動に深くかかわり、『ポーランド・コンプレックス』(1977)、『小さな黙示録』(1979)などを地下出版して話題となった。ほかに、童話『ぼくはだれだ』(1969)や『暦と砂時計』(1976)、『月の出と月の入り』(1982)などがある。映画作品としては、自身のシナリオによる『夏の最後の日』(1958)や、『愛の記録』(1986。ワイダ監督)、『父祖の祭』(1989)などがある。ノーベル賞作家ミーワッシュの『イサの谷』も映画化(1982)している。
[吉上昭三・長谷見一雄]
『内田莉莎子・小原雅俊訳『ぼくはだれだ』(1975・晶文社)』▽『工藤幸雄・長與容訳『ポーランド・コンプレックス』(1985・中央公論社)』