翻訳|hourglass
微細な砂が小孔を通って連続的にゆっくり流出落下する量で時間をはかる装置。古代エジプトのころから水時計とともに利用されていたと推定されるが,8字形のガラス容器に密封し枠に入れて倒立させて使う形のものは14世紀ころヨーロッパで発生したらしい。現代でも電話通話や卵ゆでの時間をはかるのに利用される。欧米では18世紀まで機械時計と並行して広く使われ,とくに航海で当直時間の管理,艦船の速度測定に,教会,修道院で説教時間や日常行事の管理に使われた。日本渡来は17世紀初頭といわれる。
→時計
執筆者:小野 茂
(1)ルネサンス時代の油彩画や版画では,ペトラルカの《凱旋歌集(トリオンフィ)》の〈時は名声に勝利する〉が描写されて以来,砂時計は多く〈時〉の持物(アトリビュート)となった。時の速さを表すため,砂時計に羽根をつけることもある。また,〈時の翁〉が砂時計を背負う作例も多い(ブロンツィーノ《愛の寓意》)。(2)骸骨姿の死者が生者を襲う〈死の勝利〉の図像で,〈死〉は大鎌ないし矢とともに,砂時計をもつ(ウィーリクス)。(3)17世紀オランダの静物画では,卓上の楽器,本,手さげかばん,そして〈メメント・モリ(死を記憶せよ)〉の象徴である頭蓋骨とともに,砂時計は画面全体の寓意的意味〈ウァニタスvanitas(虚しさ)〉を強調する道具となる。(4)時計は人間の生活を規則正しく導くという役割から,歯車時計の発明以前は,砂時計が〈節制〉の持物となった(A. ロレンツェッティ)。
執筆者:森 洋子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
中央のくびれた8の字形の容器に微細な砂を入れ、上部から下部への砂の移動によって経過時間を計るもの。起源は明らかではないが、一説には8世紀にフランスのシャルトルの僧正リウトプランドが考案したものといわれる。砂は大きさがそろって、表面が滑らかで、湿り気の少ないことが必要である。14世紀末の記録に、黒大理石の細かい粒をぶどう酒で煮ては干すことを繰り返してつくったことが残っている。
砂時計は、決まった事柄を一定時間に限定するために使われる。17世紀ごろまでは教会での説教などに、また船舶用のものは18世紀までも盛んに用いられていた。現在でも、電話の通話時間や料理の際に、3分計などの時間計として利用されている。
[元持邦之]
『エルンスト・ユンガ著、今村孝訳『砂時計の書』(1978・人文書院)』
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