日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンペーレ」の意味・わかりやすい解説
コンペーレ
こんぺーれ
Gabriel Compayré
(1843―1913)
フランスの教育学者、教育行政家。高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)卒業後、トゥールーズ大学哲学教授(1874)を経て代議士となり、公教育の整備に貢献。のちリヨン大学総長(1889)、ついで文部省総視学官および女子高等師範学校教育学教授を歴任。1907年アカデミー会員となる。彼によれば、教育とは、一個人の意志を児童のうえに施す有意的、具案的行為であり、児童の身体的、知的および道徳的諸能力の自然的発育を助成することがその目的であるとする。このような彼の立場は、児童の心身の発達過程を実験心理学的に観察するという主張に連なり、教育方法論上の基礎として心理学と生理学を重視した。主著には『16世紀以降のフランスの教育学説史』(1879)などがある。
[大江正比古]