大学事典 「コーア」の解説
コーア[独]
大学に在籍する同郷の学生が集まって相互扶助的な団体を結成したのが,ドイツの学生組織の始まりとされる。そうした学生団体として,ランツマンシャフト(同郷人会(ドイツ))がある。18世紀の学生団体にはほかに友愛信徒団(Bruderschaft),クレンツヒェン(Kränzchen),学士団(Orden)といった組織があり,それぞれが競っていた。このうちランツマンシャフトは,19世紀にはいるとコーアと呼ばれるようになった。コーアは,その構成員の出身地域にしたがいバヴァリア(Bavaria),サクソニア(Saxonia)などといったラテン語名がつけられていた。名門といわれるコーアの構成員には,貴族や高級官僚の家庭出身の学生が多かった。その後,コーアなどの学生組織のもつ古い体質を批判し,「精神の自由の独立」と「祖国の自由と独立」といった愛国的なブルシェンシャフト運動が生まれることになる。現在も学生同志の親睦団体としてコーアの名前は残っており,各大学に置かれている。
著者: 木戸裕
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報