日本大百科全書(ニッポニカ) 「コーチェトフ」の意味・わかりやすい解説
コーチェトフ
こーちぇとふ
Всеволод Анисимович Кочетов/Vsevolod Anisimovich Kochetov
(1912―1973)
ソ連の小説家。農業専門学校卒業。第二次世界大戦に従軍記者として参加。戦争もの、農村ものの中編で戦後デビューしたが、出世作は造船労働者の親子三代を描いた『ジュルビン家の人々』(1952)で、これは『大家族』の題で映画化もされた。その後、『青春はわれらとともに』(1954)、『エルショーフ兄弟』(1958)、『州委員会書記』(1961)などの長編で、当時の「雪どけ」的風潮に反発、反自由派知識人的立場を鮮明にした。1961年からは『オクチャーブリ』編集長として「新スターリン主義」的な路線を推進し、長編『汝(なんじ)、何を欲するや?』(1969)では公然とスターリン時代への復帰を呼びかけた。
[江川 卓]