デジタル大辞泉
「青春」の意味・読み・例文・類語
せいしゅん【青春】[書名・曲名]
小栗風葉の小説。明治38年(1905)から明治39年(1906)に発表。新時代を代表する主人公関欽哉と女子大学生小野繁の恋と、その破綻を描く。
《原題、〈チェコ〉Mládí》ヤナーチェクの木管六重奏曲。1924年作曲。晩年に少年時代を想起して作られた、反復を多用するロンド形式の作品。
せい‐しゅん【青春】
《五行説で青は春の色であるところから》
1 夢や希望に満ち活力のみなぎる若い時代を、人生の春にたとえたもの。青年時代。「青春を謳歌する」「青春時代」
2 春。陽春。
「―二三月」〈漱石・草枕〉
[補説]作品名別項。→青春
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せい‐しゅん【青春】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① ( 五行思想で、中国において、青色を春に配するところから ) 春の季節。陽春。芳春。青陽。《 季語・春 》
- [初出の実例]「過半青春何所レ催、和風数重百花開」(出典:凌雲集(814)神泉苑花宴賦落花篇〈嵯峨天皇〉)
- 「青春が江南の枝に入と、同く梅花さき乱て」(出典:中華若木詩抄(1520頃)中)
- [その他の文献]〔梁元帝纂要〕
- ② ( 年ごとに春がめぐるところから ) 年を重ねること。歳月。星霜。また、年齢。よわい。
- [初出の実例]「青春(セイシュン)十年を折(くじ)く」(出典:読本・英草紙(1749)三)
- [その他の文献]〔司空曙‐送曹同椅詩〕
- ③ 人生の春にたとえられる若い時代。年のわかいこと。青年。青年時代。
- [初出の実例]「縦賞青春日、相期白髪年」(出典:懐風藻(751)賀五八年〈刀利宣令〉)
- 「青春花鳥雖レ傾レ志、今日貂蝉欲レ墜レ蹤」(出典:本朝無題詩(1162‐64頃)九・暮春遊霊山寺〈藤原明衡〉)
- 「考へるには、青春(セイシュン)の血があまりに暖か過ぎる」(出典:三四郎(1908)〈夏目漱石〉一〇)
- [その他の文献]〔李白‐送李青帰華陽川詩〕
- [ 2 ] 小説。小栗風葉作。明治三八~三九年(一九〇五‐〇六)発表。理想主義者だが個人主義的傾向が強く実行力に乏しい関欽哉と、才色兼備の女子大生小野繁との本能満足的な恋とその破綻を描く。同時代の風俗の描写に優れる。ツルゲーネフの「ルージン」の影響が濃い。
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青春 (せいしゅん)
小栗風葉の長編小説。1905-06年(明治38-39)《読売新聞》に連載。のち〈春之巻〉〈夏之巻〉〈秋之巻〉の3巻とし春陽堂より刊行。文科大学の学生関欽哉と成女大学生の小野繁の恋愛,結婚から破局までを描いた大作で,かれらをめぐって砲兵少尉の香浦速男やその妹園枝,法学士北小路安比古,また欽哉の許嫁お房らが登場し,欽哉・繁らの運命を大きく左右する。ツルゲーネフの《ルージン》に構想を借り,またショーペンハウアーの恋愛観をも祖述しているが,日露戦争前後の青年男女の思想的動揺を的確にとらえ,そこに時代の〈矛盾や病弊〉をえぐり出そうとしている。構成や文章,描写もみごとな当代の代表作。
執筆者:岡 保生
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普及版 字通
「青春」の読み・字形・画数・意味
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青春
せいしゅん
Jugend
ドイツの劇作家 M.ハルベの戯曲。3幕物の悲劇。 1893年初演。カトリックの司祭館を舞台に繰広げられる悲恋を扱い,自然主義的な環境描写と俗語の使用により,郷土性に根ざした写実主義の作品として,当時異常な大成功を収め,ハルベの出世作となった。
青春
せいしゅん
小栗風葉の長編小説。 1905~06年発表。ツルゲーネフの『ルージン』の構想を借り,ショーペンハウアー流の恋愛観に立って,明治 30年代の知識階級青年の矛盾と病弊を指摘した作者の代表作。
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青春〔曲名:プロコフィエフ〕
旧ソ連の作曲家セルゲイ・プロコフィエフの交響曲第7番(1951-1952)。最晩年に作曲された最後の交響曲として知られる。
青春〔曲名:ヤナーチェク〕
チェコの作曲家レオシュ・ヤナーチェクの木管六重奏曲(1924)。原題《Mládí》。
青春〔J-POP〕
日本のポピュラー音楽。歌はタレントの近藤真彦。1986年発売。作詞・作曲:高橋研。
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世界大百科事典(旧版)内の青春の言及
【カターエフ】より
…晩年にもなお,断片を重ね合わせる前衛的な手法によって《聖なる井戸》(1966),《忘れ草》(1967),《わがダイヤモンドの冠》(1978)などの意欲的な作品を発表した。文芸誌《青春》の初代編集長(1955‐62)として若手作家を育てた業績も大きい。【沼野 充義】。…
【ハルベ】より
…ドイツの劇作家。生の喜びを敵視する極端な禁欲的環境の中で,無残にも破れる若い愛を描いた《青春》(1893)により一躍名を知られた。環境や運命による決定論的な世界観に基づくハルベの作品は,きわめて自然主義的であるが,他方では抒情的な温かさをも持ち合わせ,世紀末の自然主義作家群の中でも異色である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」