日本大百科全書(ニッポニカ) 「コーパルノキ」の意味・わかりやすい解説
コーパルノキ
こーぱるのき
copal tree
コーパル樹脂をとる植物の総称。ナンヨウスギ科(分子系統に基づく分類:ナンヨウスギ科)のマニラコーパルノキ(ダンマルジュ)とカウリコーパルノキ(カウリマツ)とがよく知られているが、同属の近縁種およびアフリカ産のマメ科植物にもコーパルをとる植物がある。
マニラコーパルノキAgathis alba Foxw.はフィリピン、マレーシアの原産で、コーパル生産樹の代表である。樹高45メートルになる常緑針葉樹で、葉は長楕円(ちょうだえん)形で両端がとがり、長さ4~12センチメートル。雌雄異株。カウリコーパルノキA. australis Salisb.はニュージーランド原産で、高さ35~60メートル、葉は狭い披針(ひしん)形である。
幹や根に傷をつけて樹脂を集める。あるいは、根元付近を掘って、地下に埋もれた樹脂のかたまりを採取する。地下に埋もれて年月のたったものは化石樹脂とよばれ良質である。コーパルはワニスとしてエナメルそのほかの塗料の原料、リノリウムの製造、紙のにじみ止め、タバコの吸い口に使用する。また、松脂(まつやに)同様に松明(たいまつ)にも用いられる。
[星川清親 2018年5月21日]