改訂新版 世界大百科事典 「ゴム版」の意味・わかりやすい解説
ゴム版 (ゴムばん)
rubber plate
天然ゴムや合成ゴムで作った印刷版。ゴム印(ゴム判)は捺印用として普及しているが,ゴム版といえば印刷用の版を指す。ゴムは弾性があるので,表面の粗い紙で作ったセメント袋や段ボールなどへの印刷をはじめ,パラフィン紙などへの印刷にも利用される。一般にフレキソ印刷(アニリン印刷)と呼ばれる印刷法の版として用いられる。印刷面に強く接触させると,細い画線や網点がゆがむという欠点があるので,ごく軽い圧力で印刷を行う。精巧で細密な模様の印刷には適しない。最近ごく一部にはゴム版による原色版印刷も試みられている。外国ではペーパーバック文庫本の印刷に用いられているが,日本では一般にパッケージ用材料の印刷に利用される。
執筆者:山本 隆太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報