日本大百科全書(ニッポニカ) 「サアグーン」の意味・わかりやすい解説
サアグーン
さあぐーん
Bernardino de Sahagún
(1499/1500―1590)
スペインのフランシスコ会士、歴史家。レオン地方のサアグーンに生まれる(サラマンカ生まれともいわれる)。サラマンカ大学に学び、1529年アントニオ・ロドリゴの遠征隊に加わり、19人の修道士とともにヌエバ・エスパーニャに渡る。以来メキシコで布教に従事。トラテロルコのサンタ・クルス・コレヒオ(学院)で先住民(インディオ)にラテン語を教えるかたわら、自ら現地ナワトル語の勉学に没頭した。コルテスの破壊的なメキシコ征服により、アステカの文化は絶滅に瀕(ひん)し、先住民の宗教が異端として焼き捨てられるなかで、インディオ王朝時代の生存者、古老を訪ねて、多くの絵文書、歌謡、年代記、神話伝説などを集め、インディオ文化と歴史、メキシコの自然博物誌を集大成し、『ヌエバ・エスパーニャ全史』Historia general de las cosas de la Nueva España(全12巻)を完成させた(1570ころ)。
[飯塚一郎]