日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
サイアム・セメント・グループ
さいあむせめんとぐるーぷ
The Siam Cement group
タイ最大の民族系財閥企業グループ。略称はSCG。セメント、建材の生産では東南アジアで最大規模の企業グループである。本社所在地はバンコク。
1913年タイ国王のラマ6世(ワチラウィットVajiravudh、1881―1925)により民族企業を育成する目的で創設された。創設時の同社の資本金は王室が3分の1を出資し、王室は今日でも主要株主として強い影響力をもっている。サイアム・セメント・グループはセメントの生産から事業を始めたが、建材、製紙・包装資材、機械、電機、自動車などへ業域を拡大すると、1980年代なかばからタイ工業化の波に乗って、工業原料やハイテク関連分野を強化した。製造拠点の中心はタイにあるが、アメリカ、メキシコ、インドネシア、カンボジア、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマーなど国外にも事業を拡大した。
2010年時点で、SCGグループは化学、紙業、セメント、建設資材、流通と投資部門から構成される。2010年の売上高は3013億2300万バーツであった。
[上川孝夫]