日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイラス・ラパムの出世」の意味・わかりやすい解説
サイラス・ラパムの出世
さいらすらぱむのしゅっせ
The Rise of Silas Lapham
アメリカの作家、批評家W・D・ハウェルズの小説。1885年刊。『センチュリー・マガジン』誌に1884年11月から1885年8月まで連載し、同月単行本出版。バーモント州出身の農夫サイラス・ラパムが農地内にみつかった鉱物塗料で財をなし、ボストンの高級住宅街に進出するが、投機の失敗と旧友の裏切り、失火による邸宅の消失などで破産する物語を主軸に、長女とボストン名門の青年との恋物語を絡ませつつ、最後はラパムが財を失う反面で人間的、社会的なモラルにおいて高度な自覚に到達して故郷のバーモントに引き揚げてゆく。家庭や社会のモラルを理想的情熱を込めて追求したアメリカ・リアリズム小説の傑作。
[後藤昭次]
[参照項目] |