サマール族(読み)サマールぞく(英語表記)Samal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サマール族」の意味・わかりやすい解説

サマール族
サマールぞく
Samal

フィリピン南部スル諸島マレーシア,インドネシアなどに分布し,イスラム文化をもつマレー系の民族。人口約 76万と推定される。言語はオーストロネシア語族に属する。大別して西サマール族と東サマール族に2分され,それぞれがさらにいくつかの亜集団に分けられる。東サマール族はスル諸島のホロ島東部を中心とし,周辺の小島群にも分布する。そのうち,バラギンギ島に住むバラギンギ族が最大の亜集団である。ほかにもスル諸島のドンドン島のダウンドゥン族,カビンガアン島のカビンガアン族,バシラン島ヤカン族などもこれに含まれる。西サマール族はホロ島西部海岸部を主たる居住地とし,バジャウ族などがこれに含まれる。陸上で農耕を営む者も少くないが,大部分漁業交易などを行なっている。特に海バジャウ族は小型の漁船を住居とする海上生活者である。陸上ではモスクを中心とし,100~500人程度の村をつくる。親族組織は双系的な親類関係を基盤とし,永続的な親族集団は存在しない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android