サラス・バルバディーリョ(読み)さらすばるばでぃーりょ(その他表記)Alonso Jerónimo de Salas Barbadillo

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

サラス・バルバディーリョ
さらすばるばでぃーりょ
Alonso Jerónimo de Salas Barbadillo
(1581―1635)

スペインの詩人劇作家、小説家。とくに短編小説才能を発揮。マドリードに生まれ、破天荒な青年時代を送る。セルバンテスの友人でもあった。旺盛(おうせい)な文筆活動は1627年以降急に衰えたが、耳を患ったのが原因といわれる。代表作はピカレスク小説系統の『セレスティーナの娘』(1612)。主人公エレーナの夫は彼女の愛人に暗殺され、彼女自身も裁判で処刑されるという、当時の社会の醜さを痛烈な風刺でえぐった秀作。短編物語集『純正なる悦楽の家』(1620)は『デカメロン』(ボッカチオ)の模倣と指摘される。そのほか『夜のドン・ディエゴ』、自伝的作品『調べられた夫、賢明なエスタシオ』など。

[清水憲男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android