精選版 日本国語大辞典 「短編小説」の意味・読み・例文・類語
たんぺん‐しょうせつ ‥セウセツ【短編小説】
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名のとおり、分量的に短い小説をさす。中編小説との境界は判然としないが、普通、400字詰め原稿用紙で100枚以内の分量のものと考えて差し支えない。欧米ではボッカチオの『デカメロン』に端を発し、雑誌ジャーナリズムの発生と同時に、アメリカのポー、フランスのメリメ、ドイツのホフマンらの優れた短編作家を輩出した。さらに19世紀後半の新聞ジャーナリズムの興隆によって、形式のうえでいっそう凝縮した短編の黄金時代を迎え、フランスのモーパッサン、アナトール・フランス、フィリップ、ロシアのチェーホフ、アメリカのオー・ヘンリーらの名手を生んだ。しかし新聞発行部数の巨大化した現今では、かえって需要が減り、ジャンルとして衰退に向かっている。日本では、明治以降の小説がもっぱら文芸雑誌を発表機関としてきたため、短編小説がごく最近まで主流をなしていた。森鴎外(おうがい)、志賀直哉(なおや)、芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)らが代表的な短編作家といえよう。中国では、魯迅(ろじん)の短編が有名である。分量的制約があるために、短編小説は単一の筋と緊密な構成と簡潔な文体を特徴とし、長編小説が拡散的で悠揚迫らざる語り口のうちに現実の多面性を再現しようとするのに対して、ある角度、ある個性によって鋭角的に把握された現実の一断面だけを表現する傾向がある。それだけに、思想的深さに欠ける欠点はあるが、高度に知的な読み物となることもできるジャンルといえる。
[平岡篤頼]
『平岡篤頼著『文学の動機』(1979・河出書房新社)』
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