改訂新版 世界大百科事典 「サンチョガルセス3世」の意味・わかりやすい解説
サンチョ・ガルセス[3世]
Sancho Ⅲ Garcés, el Mayor
生没年:992?-1035
イベリア半島北部のナバラ国王。在位1000-35年。サンチョ大王と通称される。クリュニー改革運動(クリュニー修道院)を受け入れ,サンチアゴ巡礼(サンチアゴ・デ・コンポステラ)を保護するなどそれまで希薄だったピレネー以北との交流を密にする一方,イベリア内ではピレネー中部からカスティリャを経てレオンまでをその支配下に置き,同時代人から〈イベリア王〉と呼ばれるほどの威勢を誇った。優れた武人だったが,国土回復戦争(レコンキスタ)には熱意を示さず,内政に専念した。晩年,領土をナバラ,カスティリャ,アラゴンに三分割して息子たちに継がせ,その後のイベリア政治史が新たな展開を見せる発端をつくった。
執筆者:小林 一宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報