日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンティリャーナ侯爵」の意味・わかりやすい解説
サンティリャーナ侯爵
さんてぃりゃーなこうしゃく
Marqués de Santillana
(1398―1458)
スペインの詩人。本名はイーニゴ・ロペス・デ・メンドーサIñigo Lopez de Mendozaで、パレンシア県生まれ。提督の息子で、のち国土回復戦争に参加。博識で知られ、彼の蔵書は現在マドリードの国立図書館に所蔵。自作の詞華集に冠した「序文」Proemioはスペインにおける文学批評の嚆矢(こうし)とされる。詩の類型をギリシア・ラテン詩、教養人の俗語詩、修辞のない俗謡詩に分けて論ずる。また『イタリア風ソネット』はペトラルカ風詩法をスペインに導入した初の試み。ほかに長編英雄詩、教訓詩、箴言(しんげん)も残すが、彼の名を不滅にしたのは一連の田園叙情歌(セラニーリャ)である。
[清水憲男]