日本大百科全書(ニッポニカ) 「サーボ制御」の意味・わかりやすい解説
サーボ制御
さーぼせいぎょ
servo control
位置・方向・姿勢など負荷の力学的な条件を目標として、目標の任意の変化に追従するように制御する自動制御。サーボという名称の語源は英語のサーバントservant(使用人)である。当初は人工衛星や宇宙船の姿勢制御、航空機の自動操縦、船舶の自動操舵(そうだ)、レーダーの駆動装置などの高度な機器の制御に用いられたが、現在ではファクトリーオートメーション(factory automation:FA)分野、ロボット分野、半導体製造などの精密機械分野および家電、自動車など幅広い分野に利用されている。
サーボ制御はサーボアンプ(制御部)、サーボモーター(駆動部)、センサー(検出部)からなる。指令値に応じて、センサーにより検出した状態をサーボアンプにフィードバックする負帰還制御(negative feedback control system)を基本とする自動制御系である。1980年代以降は、制御を乱す要因を予測し、必要な修正動作を行うフィードフォワード(feedforward:FF)方式も採用されている。サーボ制御はサーボ機構ともよばれる。現在ではサーボ機構を使った機械式サーボは少なくなり、ソフトウェアを主体に実現されることが多い。
サーボアンプはサーボモーターを駆動制御するためのドライバーでもある。サーボアンプでは指令値とフィードバック値を比較演算して、それに応じてサーボモーターの運転状態を調節する。
アナログ信号を用いて連続制御するものをアナログサーボという。デジタル信号を用いて制御動作を行わせるものはデジタルサーボとよばれる。1990年代以降はほとんどデジタルサーボが採用され、精度の高いサーボ制御が容易に実現できている。
また制御対象として扱う目標値および動作の種類によって、位置サーボ、速度サーボ、力サーボ、位置と力を同時に制御するバイラテラルサーボなどともよばれる。
[森本雅之]