化学辞典 第2版 「シアン酸塩」の解説
シアン酸塩
シアンサンエン
cyanate
OCN-を含む塩.Hg,Agなどの塩は,共有結合性が強く,Nが金属に結合している.水溶液中でシアン酸カリウムと硝酸銀との反応で得られるAg塩は,Nが二つのAgを橋かけし,…Ag-N(CO)-Ag-N(CO)…型の鎖状になっている.それ以外の金属塩の多くは,OCN-を含むイオン結合性の塩である.多くの塩は,各金属の炭酸塩または酸化物を,尿素とともに加熱すると得られる.または,シアン化物を弱い酸化剤(たとえば,PbO)で酸化しても得られる.ただし,シアン酸アンモニウムはシアン酸とアンモニアからつくる.塩は一般に安定で,とくにアルカリ金属塩は安定である.KOCN(81.12)は正方晶系の結晶で,約700 ℃ まで安定である.水に易溶で,水溶液を加熱すると尿素になる.アルカリ土類金属塩は,加熱すると炭酸塩になる.多くの金属と錯体を形成する.重金属では多くの場合N配位で,シアナトN錯体であるが,[MoⅢ(OCN)6]3-,[ReⅤ(OCN)6]- などO配位のシアナトO錯体もある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報