シウアイ族(読み)シウアイぞく(その他表記)Siuai

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シウアイ族」の意味・わかりやすい解説

シウアイ族
シウアイぞく
Siuai

ソロモン諸島北部のブーゲンビル島南西部のブイン平原に居住する先住民。非オーストロネシア語族のモツナ語を使用するニグロイド系の住民で,肌は暗褐色を呈する。さつまいもや灌漑によるタロいもの栽培と豚の飼育を行う焼畑農耕民。社会はいくつかの母系氏族から成る。1つの氏族はいくつかの拡大家族ごとの集団に分れ,これが実際上の村落の基本単位となる。各村落には政治的首長がいるが,名声を博するための贈答を繰返したり,饗宴を催したりすることによってのみ,地位が得られる。そのため,首長の権威は相対的に低い。また,この首長による統合をこえる政治組織は存在しない。

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世界大百科事典(旧版)内のシウアイ族の言及

【氏族制度】より

… こんにち母系氏族といわれるものの中には,このような父処婚の居住規制が一般化していく例が少なくない。たとえば,ソロモン諸島ブーゲンビル島の南西に原始的な農耕をいとなむシウアイ族は,母系氏族からなっているが,女子が夫の家に住むことが多いので,生まれた子どもは父親の血縁者と親しくなり,父方の氏族員に代償を払って,父の土地を相続することもある。これに反して,父系の氏族社会が直接に母系に変化していくという例はこれを見ない。…

※「シウアイ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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