日本大百科全書(ニッポニカ) 「シゲッティ」の意味・わかりやすい解説
シゲッティ
しげってぃ
Joseph Szigeti
(1892―1973)
ハンガリー出身のアメリカのバイオリン奏者。20世紀を代表する大家の一人。生地のブダペスト音楽院でフーバイに学び、13歳で早くもデビュー、以後ヨーロッパ各地に楽旅。1925年にアメリカ・デビュー、翌年アメリカに移住、欧米で活発な演奏活動を行った。31年(昭和6)初来日。その演奏は剛直で、激しい精神的緊張を聴き手にもたらすのを特色とした。バッハの無伴奏バイオリン・ソナタを演奏会のプログラムに定着させたほか、バルトーク、プロコフィエフなど新しい作品も積極的に取り上げ、バイオリン音楽のレパートリーの拡大に貢献が大きかった。51年アメリカ市民権を得たが、50年代後半からヨーロッパに帰り、晩年はスイスで指導にあたった。そのなかには潮田益子(うしおだますこ)、前橋汀子(ていこ)らの日本のバイオリン奏者が含まれている。
[岩井宏之]