「シッコSiCKO」(読み)しっこ/SiCKO(その他表記)SiCKO

知恵蔵 「「シッコSiCKO」」の解説

「シッコSiCKO」

「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年)、「華氏911」(04年)に続く、マイケル・ムーア監督の長編ドキュメンタリー映画。米国の医療保険制度の矛盾に満ちた現状を鋭く風刺し、告発した。07年5月、カンヌ国際映画祭で特別招待上演され喝采を博し、同年6月、アメリカで公開されるや、大ヒットを記録した。日本公開は、8月25日。米国の保険事情は日本とは大きく異なる。国民皆保険制度がなく、任意加入の民間保険に全面的に依拠するという現実は、必然的に、6人に1人にも当たる、経済的事情による大量の保険未加入者を生み出すことになる。保険に加入してはいても、保険会社の営利優先の経営方針ゆえ、様々な理由で保険金の支払いを拒否される場合も少なくない。「シッコ」は、米国型競争原理、市場原理優先主義が横行する医療・保険システムの裏面病理とを、鮮やかにえぐり取ってみせた。なお、sickoとは俗語で、変質者、精神障害者を意味する。

(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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