シニョレージ(読み)しにょれーじ(その他表記)seigniorage

翻訳|seigniorage

知恵蔵 「シニョレージ」の解説

シニョレージ

貨幣発行により、発行者(中央銀行等)が得る、通貨の額面と発行コストの差額及びその資金運用益。政府歳入をシニョレージに依存すると、過剰に貨幣が供給されインフレーションにつながる。さらに政府債務である国債の実質価値が低下し、インフレ税として民間部門から政府に富の移転(政府の実質債務の減少)が起こる。また、発展途上国の場合、自国通貨を放棄ドルを流通させれば、米国の金融政策を導入し国内経済の安定化を期待できるが、シニョレージの喪失やドル化導入の当初コストは相当大きい。なお、ユーロ(欧州単一通貨)のように通貨統合を行う際には各国通貨当局は、通貨主権の放棄に伴い、シニョレージを放棄するが、通貨同盟下の統一的中央銀行には、それまでの各国中央銀行に代わり獲得するシニョレージを加盟国にどのように配分するかの問題が生じる。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android