国債(読み)こくさい

知恵蔵の解説

国債

国が財政上の理由から資金を調達するために発行する債券。目的別に分類すると、社会資本整備のための建設国債歳入不足を補うための特例国債(赤字国債)、既存国債の借り換えのための借換国債、財政の一時的な不足を補う政府短期証券などがある。償還期間は最短3カ月の政府短期証券から最長30年の超長期債まで。発行残高は2007年9月末現在で675兆円、GDP比1.3倍に達した。こうした財政事情を反映して国際的にはAA-(ダブルエーマイナス。S&Pスタンダード&プアーズ〉社による格付け)と厳しい格付け評価を受けたが、08年2月現在AA(ダブルエー)まで回復している。なお、個人の資産運用対象として10年変動金利、5年固定金利の個人向け国債が発行され、人気を集めている。

(熊井泰明 証券アナリスト / 2008年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

国債

政府が税収不足の穴埋めなどのために発行する債券。08年度予算では約83兆円の歳入の約3割に当たる約25兆円を国債でまかなう。国債残高は08年度末で約550兆円に達し、財投債を加えると700兆円近くになる。返済期限を迎えた国債の借り換えもあり、年間約130兆円が発行され、東京債券市場などで売買されている。返済期限は6カ月〜40年。国債を買う投資家が増えれば、価格は上がって金利が下がる。売る投資家が増えれば、価格が下がって金利が上がる。

(2008-05-08 朝日新聞 朝刊 政策総合)

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デジタル大辞泉の解説

こく‐さい【国債】

国が発行する債券。法律に基づいて発行され、普通国債財政投融資特別会計国債財投債)に大別される。発行目的別では歳入債繰延債融通債に、償還期限によって短期国債中期国債長期国債超長期国債に、利払い方法によって利付国債割引国債に分類される。短期国債は割引国債、それ以外は利付国債として発行されている。発行方式では、入札によって機関投資家などに販売される市中発行方式、個人を主な対象とする発行方式(個人向け国債新窓販国債)、公的部門発行(日本銀行が借換債を引き受ける日銀乗換など)に大別される。
[補説]国債の価格と利回り(金利)は、価格下落なら金利上昇、価格上昇なら金利下落という関係にあり、通常、景気が後退する場面ではリスクの少ない国債が買われるため、国債の価格上昇、金利下落となることが多い。国債が大量に発行されると、国債価格の下落、長期金利の上昇を招き、企業の借入金利や住宅ローン金利の上昇につながる場合がある。

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百科事典マイペディアの解説

国債【こくさい】

財政上必要な国家の債務をおぎなうために発行する債券をいう。地方債に対する。広義では,郵便貯金,供託金,賠償などの国家による財政以外の諸活動によって生ずる債務(行政または政務国債)も含めるが,一般的には国の発行する債券をさす。使用目的により建設国債,赤字国債,借款国債,政府短期証券に分類され,償還期限の長さで短期・中期・長期など数種が発行されている。日本銀行引受けによる公債発行および日本銀行からの借入金は特別の事由があり,しかも国会の議決を経た金額内でのみ認められている。なお日本の国債発行残高は2005年12月末の時点で663兆7743億円であり,2000年末時点の372兆円から5年間で300兆円近く増加している。
→関連項目永久公債確定利付証券間接金融金銭証券クラウディング・アウト公債公社債公社債投資信託国債引受けシンジケート国民負担率政府保証債ソブリンリスク短期国債中央銀行日本銀行[株]農地証券

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世界大百科事典 第2版の解説

こくさい【国債 national debt】

国がその経費をまかなうために行う金銭債務をいう。その場合,国債証券を発行するものを狭義の国債,証券の発行を伴わないものを借入金(年度内に償還する条件のものを一時借入金という)という。なお,国債と地方債を総称して公債という。
【国債の制度】
 国債は償還期限により分類すると,償還期限が1年未満のものを短期国債,1年以上のものを長期国債という。長期国債のうち5年以内の償還期限のものは,一般に中期国債と呼ばれている。

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大辞林 第三版の解説

こくさい【国債】

国が資金の不足をまかなうために負う金銭債務。国債証券の発行を伴うものを狭義の国債、伴わないものを借入金という。通常は発行した債券そのものをさすことが多い。公債。 〔はじめ中国洋学書で用いられ、幕末頃に洋学書の流入にともない日本に伝わったと考えられる〕 → 債券

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国債
こくさい

一般的に国が発行する債券のうち、発行から償還まで一会計年度を超えるものをさす。一時的な資金不足を補うため、一会計年度内で履行される政府短期証券(FB:Financing Bills)を含む場合もある。なお、政府短期証券は2009年(平成21)2月より割引短期国庫債券TB:Treasury Bills)との統合発行を開始し、国庫短期証券(T-Bill:Treasury Discount Bills)という統一名称で市場において発行・流通しているが、制度上の位置づけは別のものである。各種の国債や政府短期証券は、一部を除き発行限度額が毎年度の予算総則において設定されている。
 国債はおもに財源調達を目的とするものであるが、このほか、国の支払い手段として発行されるものもある。それが、交付国債である。戦没者遺族などへの弔慰金等のかわりとして交付される狭義の交付国債や、交付国債の一種として国際通貨基金(IMF)など国際機関への出資や拠出にかえて発行される出資・拠出国債、株式会社日本政策投資銀行危機対応業務国債や原子力損害賠償・廃炉等支援機構国債がある。[浅羽隆史]

財政と国債

国債には、数多くの種類が存在する。国債をあくまで予算上の財源の補填(ほてん)手段と考えれば、発行する会計による区分と、それぞれの国債の役割が重要である。
 一般会計の財源調達として発行する国債は、新規財源債とよばれる。新規財源債は、根拠法と使途により、建設国債と赤字国債に分けられる。建設国債は財政法第4条に基づき発行されるため、4条国債とよばれることがある。一方、赤字国債の根拠法は特例法であるため、特例国債とよばれることがある。かつては赤字国債の発行にあたり毎年度特例法を制定していたが、2012年度の途中からは複数年度にわたり適用される特例法に基づいて発行されている。新規財源債は狭義の国債であり、国債発行額の目標を設定する場合など、とくに断ることなく新規財源債をさすことがある。一般会計が発行する国債には、財政法第7条に基づく財務省証券もある。これは、国庫の日々の資金繰りをまかなうための政府短期証券であり、当該年度の歳入で償還し利払費を除いて予算計上されない。
 特別会計でも国債を発行する。国債の償還等の経理を行う国債整理基金特別会計では、毎年度多額の国債の満期が到来する。こうした国債のすべてを償還して終わる(現金償還)のではなく、多くはふたたび国債を発行して借り換える(借換(かりかえ)償還)。国の債務が増加するわけではないので、これを借換国債といい、通常は借換債とよんでいる。財政投融資に関する経理を行う財政投融資特別会計でも、国債を発行している。それが財政投融資特別会計国債であり、財投債とよばれる。財投債は、財政融資資金から政府関係機関や独立行政法人などの財投機関に貸し付ける原資となる。財投債の返済は原則として事業収益などであり、税を用いないことを前提としているため、建設国債、赤字国債、借換債といった普通国債とは峻別(しゅんべつ)される。
 借換債と財投債は、特別会計法に基づき発行される。財政投融資特別会計では、財政融資資金法を根拠として、政府短期証券の一種である財政融資資金証券も発行している。また、東日本大震災復興特別会計においても、復興財源確保法に基づき復興債が発行されている。復興債は2011年度補正予算(第3号)に限り一般会計で発行されたが、翌年度から特別会計での発行に変わった。
 このほかの政府短期証券として、外国為替(かわせ)資金特別会計の外国為替資金証券、食糧管理特別会計の食糧証券、エネルギー対策特別会計では石油証券と原子力損害賠償支援証券がある。これらの政府短期証券は、特別会計法を根拠とし、原則発行年度中の償還が必要であるが、現実には外国為替資金証券、食糧証券、石油証券において、年度越の残高が恒常的に存在する。[浅羽隆史]

国債管理政策

政府は、財源の確保のために国債を安定的に消化するとともに、将来の国民負担を減らすために低金利で調達しなければならない。そのために実施される諸施策を、国債管理政策とよぶ。
 日本における国債管理政策の一つとして、毎年度の国債発行計画の策定がある。国債発行計画では、予算編成にあわせて、国債発行予定額、カレンダーベース市中発行額、政府保証債発行予定額などを公表している。計画作成にあたっては、「国債市場特別参加者会合」や「国の債務管理の在り方に関する懇談会」はじめ各種懇談会等を通じた市場との対話が重視されている。発行市場における安定した消化のため、2004年10月に国債市場特別参加者制度、いわゆる日本版プライマリー・ディーラー制度が導入されている。これは、一定の条件を満たす証券会社などに特別な資格を付与する一方、応札・落札責任を課すことで、国債の安定消化や流動性確保などを目的としている。そのほか、海外IR(海外向けインベスター・リレーションズ)の実施などによる国債保有者層の多様化が図られている。
 起債に際しては、発行する場所を国内か国外か考えなければならない。国内で発行される国債を内国債(内債)、海外で発行される国債を外国債(外債)という。ただし、日本国政府による外国債の発行は、1968年度(昭和43)以降は行われていない。また、1988年度に最後の償還を終え、2018年度時点では残高においても外国債はなくなっている。
 次に、消化方式の割り振りも重要である。消化方式は、市中発行、個人向け、公的部門に分けられる。市中発行とは、市中金融機関などに公募入札等で発行することをいう。市中発行には、財務省が提示した発行条件に対し入札参加者が落札希望価格(または利回り)と落札希望額を入札しそれに基づいて発行価格と発行額を決定する価格(利回り)競争入札、価格競争入札における加重平均価格を発行価格とする中小入札参加者向けの非競争入札、国債市場特別参加者にのみ参加資格が認められる第非価格競争入札および第非価格競争入札がある。
 個人向けは、国債保有者層の多様化を図る一環として個人のみを対象に発行するもので、個人向け国債と一般の利付国債についての新型窓口販売方式があり、さまざまな金融機関で販売されている。公的部門とは、日本銀行が消化するものである。財政法が例外として認めている日本銀行保有国債の償還額の範囲内に限定して借換債を引き受けている。これを一般的には、乗換引受とよぶ。[浅羽隆史]

市場における国債

発行する会計や根拠法が異なっても、金融商品としては市場で区別なく取引されている。そのため国債市場では、金利や償還期間での区分が重要である。まず、金利等については、大きく利付国債と割引国債、そして割賦償還制国債に分けられる。
 利付国債とは、利子を一定期間ごとに支払い、満期時には額面金額で償還する国債のことである。利子の支払いは、通常は半年ごとに行われる。一方、割引国債は、あらかじめ金利相当分を額面金額から割り引いた価格で発行し、途中での利払いは行わず、満期時に額面金額で償還される国債である。そして、無利子の割賦償還制国債は交付国債に限られる。
 利付国債は、さらに固定利付国債、変動利付国債、物価連動国債に分けられる。固定利付国債は、利率そして利子の金額がすべての利払いにおいて同一の国債である。変動利付国債とは、市場の変動に応じて金利が変化する国債のことである。利率は利払いごとに改定される。物価連動国債は、元金額が消費者物価の動向に連動して増減する。たとえば、物価連動国債の発行後に消費者物価指数が上昇すれば、その上昇率に応じて元金額が増加する(増加後の元金額を想定元金額という)。償還額は、償還時点での想定元金額となる。利子の額は、各利払い時の想定元金額に表面利率を乗じて算出される。表面利率は発行時のもので固定されるため、物価上昇により想定元金額が増加すれば利子の額も増加する。
 国債が発行されて償還されるまでの償還期間では、4区分が通常である。償還期間20~40年のものを超長期国債、10年を長期国債、2~5年を中期国債、そして2か月~1年のものを短期国債とよぶ。[浅羽隆史]

日本の国債の歴史

日本初の国債発行は、鉄道建設のため1870年(明治3)にロンドンで募集したポンド建て国債であった。金利は9%で償還期間13年、関税収入を担保に鉄道収益を付加的担保としていた。その後、旧藩の債務処理のための国債発行などを経て、日清戦争(1894~1895)、日露戦争(1904~1905)、日中戦争(1937~1945)といった戦費調達のための国債発行が目だつようになる。そして、第二次世界大戦(太平洋戦争。1941~1945)によって、経済規模を上回る残高を抱えることになり、戦後の激しいインフレーション(インフレ)の原因となった。
 第二次世界大戦後に財政法が制定され、そのもとで初めて策定された1947年度の予算から1965年度当初予算まで、財政法第4条の国債不発行主義を遵守し、交付国債などを除き、財源調達のための国債は発行しなかった。ただしこの時期、地方公共団体では建設地方債はもとより、年度によっては赤字地方債も発行されていた。
 財政法施行後初の国債発行は、1965年度補正予算であった。前年度の1964年度に東京オリンピックが開催され、高度経済成長期前半期のピークを迎えた。1965年度予算の策定では税収の伸びを高く設定していたが、景気は落ち込み、予算で見込んだ税収が不足した。そこで、補正予算で赤字国債を発行した。そして翌1966年度には、当初予算から建設国債を発行し国債発行政策に転換した。建設国債はそれ以降、発行が続けられている。
 国債発行政策に転じたものの、1973年の第一次オイル・ショックまで高度経済成長が続いたことなどから、1974年度まで赤字国債は不発行であった。建設国債の発行額についても、抑制の効いたものであった。ふたたび赤字国債が発行されたのは1975年度補正予算で、その後の赤字国債の恒常的発行と同時に、国債全体の発行規模が急増し、大量発行時代に突入した。この背景には、高度経済成長の終焉(しゅうえん)により税収の伸びが縮小する一方、新全国総合開発計画(新全総)に基づく大規模事業実施や児童手当制度導入など歳出の拡大傾向があった。
 こうした国債発行の膨張に対して財政再建が求められるようになり、赤字国債発行ゼロが目標に据えられた。そして、1980年代後半のバブル景気による税収増が、1991(平成3)~1993年度の赤字国債新規発行ゼロをもたらした。しかしそのときすでにバブルは崩壊しており、ふたたび国債発行が拡大した。それをさらに加速させたのが、IT(情報技術)バブルがはじけ、アジア通貨危機(1997)に対する景気対策を打ち出した、1998年度補正予算であった。そこでは当初予算の2倍強の国債が計上され、歯止めなき国債発行とよばれるようになった。
 いざなみ景気(2002~2008)と構造改革などにより、国債発行は2005年度から減少傾向に転じた。しかし、リーマン・ショックに端を発した世界同時不況により、2008年度からふたたび国債発行は増加に転じた。とくに景気対策に伴う2009年度補正予算では、歯止めなき国債発行の時期の水準を大きく上回り、一般会計の財源として国債は税をしのぐ規模になった。
 その後、一般会計における国債発行は緩やかな減少傾向になったが、国際的にみて高水準の国債発行額と最高水準の国債発行残高を抱えている。2018年度当初予算では、一般会計の国債発行額は建設国債が6兆円、赤字国債が28兆円である。このほか、借換債103兆円、復興債1兆円、財投債12兆円となっている。そして、2018年度末見込みの国債発行残高は、建設国債273兆円、赤字国債604兆円(年金特例国債などを含む)、復興債6兆円、財投債94兆円となっている。[浅羽隆史]
『真壁昭夫・玉木伸介・平山賢一著『国債と金利をめぐる300年史――英国・米国・日本の国債管理政策』(2005・東洋経済新報社) ▽米澤潤一著『国債膨張の戦後史――1947―2013 現場からの証言』(2013・金融財政事情研究会) ▽代田純著『日本国債の膨張と崩壊――日本の財政金融政策』(2017・文眞堂)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

こく‐さい【国債】

〘名〙 国家が歳入の不足を補うために負う金銭債務。また、それを示す債券。狭義には、借入金以外の長期の債務で、有価証券形態によるものをさす。募債の場所によって内国債外国債に分けられる。
※太政官日誌‐明治二年(1869)五月二四日「国債私鋳之害、上下之困迫此極に至り」
[語誌](1)中国洋学書における訳語。英華辞書にも収録され、幕末から、中国の洋学書が日本に伝わったのに伴って日本語に入ってきたと考えられる。
(2)日本で初めて国債を発行したのは、明治三年(一八七〇)。

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世界大百科事典内の国債の言及

【銀行】より

…また,海外への資金供給も大きな地位を占めるようになった。より具体的には,政府部門のなかで中央政府・一般会計の赤字が恒常化し,国債発行が行われるようになった。国債発行は1965年度から常態化していたが,75年度以降はその大量発行が定着し,金融システムに多大な影響を与えた。…

※「国債」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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