日本大百科全書(ニッポニカ) 「シメジモドキ」の意味・わかりやすい解説
シメジモドキ
しめじもどき
[学] Rhodophyllus clypeatus (Fr.) Quél.
担子菌類、マツタケ目イッポンシメジ科の食用キノコ。傘は径5~8センチメートル、まんじゅう形から平らに開き、ねずみ色で粘り気がない。肉は白色でややもろい。ひだは茎にややまばらに湾生し、初め白色であるが、のちに淡い肉色に変わる。茎は高さ5~8センチメートル、太さ5~15ミリメートルの円柱状、中空でもろい。胞子紋は淡い肉色、胞子は多角形。4~5月ごろ、モモ、ナシ、リンゴなどの果樹やウメ、サクラなどの木の下に群生し、ときには数本の束になって生えることもある。味は美味である。なお、属名のRhodophyllusをEntolomaとする学者も多い。イッポンシメジ科には、秋に雑木林に生えるイッポンシメジ、クサウラベニタケなどの毒茸(どくたけ)があり、いずれも色、形ともに本種によく似るが、シメジモドキはバラ科の木の根に菌根をつくること、発生が春先であることなどで区別できる。
[今関六也]