化学辞典 第2版 「シラレン」の解説
シラレン
シラレン
scillaren
ユリ科カイソウScilla maritimaの球根のステロイド系配糖体(植物心臓毒)の混合物.顆粒状の苦味物質.エタノール,メタノールに可溶,水に難溶,エーテル,クロロホルムに不溶.この混合物を分離すると二つの配糖体,シラレンAとシラレンFが得られる.シラレンA[C36H52O13(692.80)]の構造は,シラレニンとシラビオース(4-O-L-ラムノピラノシル-β-D-グルコピラノース)よりなっている.シラビオースはD-グルコースとL-マンノースからなる二糖.非常に強い苦味をもつ.メタノールからの再結晶により2種類の結晶が得られる.立方晶は融点184~186 ℃,葉状晶は融点208~211 ℃.-71.9°(メタノール).メタノール,希エタノールに可溶,水に難溶,クロロホルム,エーテルに不溶.シラレンF[C30H40O10(560.64)]はグルコースの配糖体.無晶形粉末.融点165~167 ℃. + 108.7°(メタノール).水,エタノール,メタノールに易溶,クロロホルム,エーテルに不溶.強心剤として使用されている.[CAS 110003-70-6]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報