改訂新版 世界大百科事典 「シルベリーヒル」の意味・わかりやすい解説
シルベリー・ヒル
Silbury Hill
イギリス,イングランド南部のウィルトミアにあるヨーロッパ最大の人工の円丘。截頭円錐形を呈し,基底部面積2.1ha,高さ40m,頂部は径30.5mの平たん部となる。円丘の周囲には,幅40m,深さ5.6mの濠がめぐり,一部では幅150mに広がる。濠は南で2ヵ所とぎれ,そこが進入路かと考えられている。18世紀以来数度にわたる発掘調査があり,墓室あるいは墓道の検出をねらったが,いずれもその発見にいたらなかった。最も新しくは,1968-70年にイギリス放送協会の援助による発掘調査があったが,その結果,円丘下部の中心に,径20mに柵がめぐり,その中央に径5m,高さ0.8mの小円丘がまず構築され,さらにこの小円丘をおおって,大きく2度にわたって円丘が築成され,現形となったことが判明した。埋葬その他の施設の痕跡はやはりなかった。最初の小円丘の資料に基づく炭素14法による測定(2145±95B.C.)から,北東1.5kmのエーブベリーのストーン・サークルや,南25kmにあるストーンヘンジなどの巨石記念物より,年代としてはややさかのぼる可能性のある構築物と推定されているが,構築目的はなお不明である。
執筆者:田中 琢
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報