ストーンサークル(英語表記)stone circle

翻訳|stone circle

デジタル大辞泉 「ストーンサークル」の意味・読み・例文・類語

ストーン‐サークル(stone circle)

巨石記念物の一種で、多数の立石をまるく並べた祭祀遺跡あるいは墓地。世界各地にみられる。東日本縄文時代遺跡には、環状の立石と石塊を環帯状に配したものとがあり、ともに墓地である。秋田県大湯の例が有名。環状列石

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精選版 日本国語大辞典 「ストーンサークル」の意味・読み・例文・類語

ストーン‐サークル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] stone circle ) 巨石記念物の一つ。大型の石を環状に立てならべた新石器時代の遺構。ヨーロッパに多く、日本でも北海道東北地方に散見する。墓地とも祭祀遺跡ともみられる。環状列石。環状石籬(せきり)

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改訂新版 世界大百科事典 「ストーンサークル」の意味・わかりやすい解説

ストーン・サークル
stone circle

巨石記念物の一種。環状列石あるいは環状石籬(せきり)と訳される。柱状自然石を立て並べて環形としたもので,直線状の列石(アリニュマン)とは区別される。同心円状に二重,三重にめぐることも多い。その大きさはいろいろで,最大の石は20tにも及び,環の径は50m以上の大型のものから2mに満たない小型のものまでがある。ウェールズ語の呼称クロムレックcromlechを採用したり,立石の上に楣(まぐさ)石を置いて相互に連結したものをヘンジhengeと呼んで特に区別することがある。ヨーロッパの大西洋岸に多くの遺構があり,イギリスストーンヘンジエーブリーや,フランスのエル・ラニック,カルナックのものが著名である。ヨーロッパ以外でも,西南アジアシナイアラビアイランインドデカン高原やアッサム地方,南シベリアミヌシンスク地方,中国の甘粛省,日本の北海道,東北地方などに存在する。

 ストーンヘンジのストーン・サークルは,その構造から太陽崇拝に関係があるとされているが,集合墓地としても使われている。その他の多くの例では,ドルメンや石室墓を伴い,埋葬に関係のある遺構といえる。インドのブラフマギリ,ミヌシンスク地方のカラスク文化の墳墓群,あるいは秋田県の大湯環状列石などはいずれも墓と結びついている。ただし,単に聖域を取り囲む垣のような施設と見られるものもあり,性格は一様でない。ヨーロッパ大西洋岸に分布するストーン・サークルや,中国甘粛省の斉家文化に属するものは,新石器時代の所産と考えられるが,カラスク文化は青銅器時代であり,インドのストーン・サークルは初期鉄器時代になって作られた。年代もまた多様なのである。
執筆者:

縄文時代の後・晩期に多くみられ,地域的には,北海道,東北地方の発見例が多い。北海道のストーン・サークルには,大型の立石列が大きく円形ないし楕円形にめぐり,この区画内に敷石の施された石棺状の墓壙を有するものと,小規模な円形にめぐる立石列をもち,この内側に配石が施され,さらにその下部に墓壙を有するものなどがある。前者は環状石籬といわれているもので,忍路(おしよろ)地鎮山遺跡や日吉遺跡,さらに内部は未調査であるが,長径30m,短径22mの大規模な立石列を有する忍路土場遺跡などが著名である。後者のような小規模なものは,数基まとまって発見されることが多く,西崎山遺跡,音江遺跡北側,北栄遺跡などに発見例がある。このような北海道のストーン・サークルは,日本海沿岸の余市地方から日高地方に分布することが知られ,墳墓の一種と考えられている。

 東北地方では大湯環状列石の名で知られる万座遺跡,野中堂遺跡が著名である。両遺跡とも二重に石がめぐっているストーン・サークルと考えることもできるが,実際にはいわゆる日時計形を含む各種の小配石が二重の円輪内に集合しているものであり,北海道のものとは配石のあり方が異なっている。配石下部からは墓壙の可能性が考えられる土坑が検出されている。ストーン・サークルではないが,ほかに大規模な配石遺構として山梨県の金生(きんせい)遺跡(縄文時代後・晩期)が注目される。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストーンサークル」の意味・わかりやすい解説

ストーン・サークル
すとーんさーくる
stone circle

自然石または加工の少ない巨石を環状に配置したもので、巨石記念物の一つ。環状列石と訳す。巨石墓など墳墓の外周を取り巻くものと、墓と直接には関係しないと思われるものの両者がある。前者は分布が広く、ヨーロッパ以外にも南インド、シベリアなど世界的に広がっている。日本では北海道の音江(おとえ)環状列石などがある。イギリスのストーンヘンジは、墓壙(ぼこう)は伴うが後者に属するものといえよう。環状列石といっても、正円ではなく楕円(だえん)形のもの、不整円形のものも多く、一重のものから二重、三重に巡らすものまで、その形態は変化に富んでいる。石材の大きさも数十トンに達するものから、巨石とはよべない小さなものまでさまざまである。

 イギリスでは、ストーンヘンジのほかに、アベベリー、フランスではエル・ラニックなどが著名であり、中国でも斎家(せいか)文化の大何荘(だいかそう)遺跡などが知られている。日本では東北、北海道に分布が多く、秋田県の大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)の「日時計」がよく知られているほか、北海道の忍路(おしょろ)環状列石、岩手県の樺山(かばやま)遺跡などがある。

[寺島孝一]


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百科事典マイペディア 「ストーンサークル」の意味・わかりやすい解説

ストーン・サークル

巨石記念物の一種で自然石などを環状に立て並べたもの。ヨーロッパの大西洋海岸の新石器時代の遺跡に多く,英国のストーンヘンジに代表される。インドのデカン高原,アッサム地方,シベリアのミヌシンスク(タガール文化)などにも分布。太陽崇拝に関係がある宗教的遺構とされるが,墳墓に関係ある遺構とも考えられる。→環状列石
→関連項目小牧野遺跡太陽崇拝

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ストーンサークル」の解説

ストーン・サークル
stone circle

環状列石ともいう。巨石記念物の一種で,自然石を環状に立て並べたもの。ヨーロッパでは,大西洋岸の新石器時代に多くの遺跡がある。イギリスのストーンヘンジ,フランスのカルナックがことに有名であるが,西南アジアのシナイ半島,アラビア半島,インドのデカン高原ならびにアッサム地方,シベリアのミヌシンスク地方,あるいは日本の秋田県大湯の環状列石などもある。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ストーンサークル」の解説

ストーン−サークル
stone circle

新石器時代の巨石記念物の一種で,柱状の自然石を環状に立てならべたもの
「環状列石」と訳す。イギリスのストーンヘンジが最も有名で,アジア各地・日本の北海道・東北地方にも存在する。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「ストーンサークル」の解説

ストーンサークル

環状列石(かんじょうれっせき)

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旺文社日本史事典 三訂版 「ストーンサークル」の解説

ストーン‐サークル

環状列石

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ストーンサークル」の意味・わかりやすい解説

ストーンサークル

環状列石」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のストーンサークルの言及

【巨石記念物】より

…メガリスは〈巨大な石〉を意味するギリシア語に由来し,最大の石には20tを超えるものがある。1本の柱状の石を立てたものはメンヒル(立石),柱状石を1ないし数列立て並べたものはアリニュマン(列石),環状に並べたものはストーン・サークル(環状列石,ウェールズ語ではクロムレック),また巨大な平石を数個の石で支えたものはドルメン(支石墓)と呼ばれ,新石器時代後半から青銅器時代初期にかけてのヨーロッパ,特に大西洋岸に色濃く分布する。同じ頃,同地には多くの石室墓が築造された。…

【祭祀遺跡】より

…その代表例とされるイギリスのストーンヘンジや3000本近い立石を列に並べたフランスのカルナック列石(クロムレクcromlech)は,ともに太陽崇拝との関連が論じられている。 農耕祭祀とのかかわりとは無縁だが,日本の縄文文化にも環状列石(ストーン・サークル)がある。石塊を用いたもの(秋田県大湯遺跡),立石をめぐらしたもの(小樽市忍路(おしよろ)三笠山)がある。…

【配石墓】より

…配石墓は密集して構築され,土壙墓と同様に集落中央の広場に環状に配されることが多い。これをストーン・サークルとも呼ぶが,ヨーロッパと同じものではない。環状配石墓には,敷石住居や方形掘立柱建物など特殊な遺構を伴うことがあり,祭場としての機能も有していた。…

※「ストーンサークル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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