日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストーンヘンジ」の意味・わかりやすい解説
ストーンヘンジ
すとーんへんじ
Stonehenge
イギリス南部ソールズベリー平野のほぼ中央にある巨石記念物。世界各地にあるストーン・サークルのうちもっとも著名な遺跡で、20世紀に入ってからの数次にわたる調査の結果、年代や構築状況が解明されてきた。1986年に巨石記念物であるエーブベリー、関連する遺跡群とともに世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。ストーンヘンジは、中心から、トリリトン、サーセン円、Z穴、Y穴、オーブレー穴、周溝が同心円状に配列され、北東部にはヒル・ストーンが建ち、そこに至る通路がつくられている。これらの構成は一時期につくられたのではなく、Ⅰ~Ⅲ期に段階的に建造、使用されたことが判明し、その実年代は紀元前2800~前1100年ごろと推定されている。
Ⅰ期には主として外周部がつくられた。Ⅱ期にはブルー・ストーンとよばれる石が搬入され、サーセン円とトリリトンの中間に二重の環状に建てられた。Ⅲ期はさらにa~c期に細分されているが、ストーンヘンジ最大の構築物であるトリリトンとサーセン円がつくられた。サーセン石のうち最大のものは50トンを超える。またこの時期にはブルー・ストーンの建て替えを行っている。
G・S・ホーキンズはこれらの石の配列をさまざまな角度から考察し、「ストーン・サークル=天文台」説を提唱したが、ストーンヘンジの中心と、ヒル・ストーンを結ぶ線が夏至の日の出の方向を示す以外は一般には認められていない。また墓壙(ぼこう)を伴うことから埋葬との関連も考えられる。
[寺島孝一]
『G・S・ホーキンズ著、竹内均訳『ストーンヘンジの謎は解かれた』(1983・新潮社)』