シンカイアカヤムシ(読み)しんかいあかやむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンカイアカヤムシ」の意味・わかりやすい解説

シンカイアカヤムシ
しんかいあかやむし / 深海赤矢虫
[学] Eukrohnia fowleri

毛顎(もうがく)動物門矢虫綱膜筋目クローンヤムシ科に属する海産動物。体長4センチメートル以下で、体は硬く、体色は不透明。頭部は大きく、幅が広い。広く大洋深層に生息するプランクトンで、腸管が橙朱(とうしゅ)色を帯びる個体が多く、まれに頭部やひれまで着色している個体もある。この色素カロチノイドであり、ヤムシ自身により生合成される。表層種と異なり、受精卵を海水中に放出せず、5~6個の受精卵は雌性開口部にある卵嚢(らんのう)に蓄えられる。仔虫(しちゅう)は卵嚢内で孵化(ふか)し、やがて卵嚢を破り、母体を離れて海水中を浮遊する。浮遊性橈脚(どうきゃく)類を摂食する。

[永澤祥子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android