大洋(読み)タイヨウ(その他表記)ocean

翻訳|ocean

デジタル大辞泉 「大洋」の意味・読み・例文・類語

たい‐よう〔‐ヤウ〕【大洋】

大きい海。広い海。大海。太平洋大西洋インド洋三大洋北極海南極海を加えて五大洋という。
[類語]海洋大海海原領海公海大海原青海原内海うちうみ内海ないかい外海そとうみ外海がいかいわたつみ外洋沿海沿岸近海遠海遠洋絶海四海七つの海

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精選版 日本国語大辞典 「大洋」の意味・読み・例文・類語

たい‐よう‥ヤウ【大洋】

  1. 〘 名詞 〙 大きな海。おおうみ。また、特に太平洋、大西洋、インド洋、北極海(北氷洋)、南極海(南氷洋)などをいう。
    1. [初出の実例]「宮の召れたる御舟一艘、漫々たる大洋(ヤウ)に放たれて」(出典:太平記(14C後)二〇)
    2. [その他の文献]〔耶律楚材‐和張敏之詩〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大洋」の意味・わかりやすい解説

大洋(海)
たいよう
ocean

大きな海、外海(そとうみ)。一般には太平洋、大西洋、インド洋、北極海、南極海(南大洋)をいう。大洋に付属する海を付属海(adjacent sea)という。付属海には縁海(えんかい)と地中海とがある。付属海を含めた大洋、すなわち地球の全海洋は地球の表面積の70.8%を占め、約3億6000万平方キロメートル、全体積は約13億7000万立方キロメートル、平均深度は約3800メートルである。海の深さの分布は、陸地の標高のようには正確にはわかっていないので、海水の体積もやや不確かである。また、海岸がいつも氷や雪で覆われている場合には、海岸線の位置が正確にはわからない。

[高野健三]

大洋と氷

海水が凍ると海氷となるが、地球上での海氷の量は約5万立方キロメートルで、全海水量の0.004%にすぎない。一方、地下水を除くと、地表と大気中には約2400万立方キロメートルの淡水があるが、その98%あまりは南極大陸グリーンランドなどに凍りついていて、水として存在しているのはわずか1.4%にすぎず、海水と際だった違いがある。淡水に限れば地球は水の惑星というよりは氷の惑星である。海氷の厚みは2~3メートルにすぎないが、大陸氷床の厚みは1500~2000メートルもある。したがって氷に覆われている面は海の方が広くなる。海氷が凍りにくい理由はいくつもある。

(1)淡水は3.98℃で密度が最大となるので、3.98℃以下では水温低下とともに水は軽くなり、対流は止まる。海水は、塩分が24.7psuよりも高ければ、氷点に至るまで水温低下とともに重くなるので対流は止まらない。冷えた海水は沈み、別の海水が下から昇ってくるので、水温は下がりにくい。

(2)塩分は氷点を下げるので、海水の氷点は零下1.8~2.0℃くらいのことが多い。氷ができると、もとの海水に含まれていた塩分の大部分は氷のなかに取り込まれず、まわりの海水中にとどまるので、まわりの海水の塩分は高くなり、氷点はますます下がる。北極海が凍りやすのは、大量の河川水が流れ込んで表層水の塩分が下がり、氷点が高くなること、下層に大西洋起源の高塩分の重い水があるために対流が発達しにくいこと、のためでもある。

(3)水(淡水・海水)の特別な性質として凍るともとの水よりも軽くなる。軽いから氷は水面に浮く。海氷の熱伝導率は、もとの海水の熱伝導率よりもはるかに小さく、比熱はもとの海水よりもはるかに大きい。熱伝導が悪く、比熱が大きいのだから、すぐれた断熱材である。それが海面に浮いているのだから、氷ができた途端に氷の下の海水は冷えにくくなる。こうして、海水は凍りにくく、凍ったとしても厚い氷になりにくい。

[高野健三]

大洋と放射反射率

太陽の放射エネルギーの反射率は、おおよその平均値として海面が0.07、海氷が0.5、樹林が0.18、砂漠が0.28、地球全体としては雲の高い反射率がきいて0.3である。したがって、海面の低い反射率と凍りにくいことが、太陽エネルギーを吸収する上で重要な意味をもつ。海が吸収した太陽エネルギーは気化熱(潜熱)などを通して大気エネルギーの重要な源となる。

 陸の氷では、氷ができると放射反射率が高い面ができたことになり、まわりはますます寒くなり、氷は成長する。氷面は広がり、氷厚は上に向かって増す(この効果は海氷にもあるが、海の場合はこの効果を打ち消す他の作用が強い)。氷面の標高は高くなるから、気温はさらに下がる、というわけで氷が上へ伸びるのを抑える作用が働かない。ある程度まで伸びると、大気中の水蒸気が少なくなるので際限なく厚くなるわけではないが、海氷の1000倍も厚い氷ができることになる。

[高野健三]


大洋(旧村名)
たいよう

茨城県中央東部、鹿島郡(かしまぐん)にあった旧村名(大洋村(むら))。現在は鉾田市(ほこたし)の南部を占める地域。旧大洋村は、1955年(昭和30)上島(かみしま)、白鳥(しらとり)の2村が合併して成立。2005年(平成17)鉾田町、旭村(あさひむら)と合併して市制施行、鉾田市となる。東は太平洋の鹿島灘(なだ)、西は北浦に面する鹿島台地が大部分を占める。鹿島臨海鉄道大洗(おおあらい)鹿島線と国道51号、354号が通じ、鹿行(ろっこう)大橋で北浦対岸の行方(なめがた)市と結ばれている。かつては製塩が行われ、第二次世界大戦前まで地引網漁業が盛んであった。現在はメロン、トマトなどの施設園芸のほか、ニンジンゴボウミツバなどの野菜類が栽培され、輸出用グラジオラス球根の特産地である。気候温暖のため、1980年代に別荘地が開発された。福泉寺(ふくせんじ)の木造釈迦如来(しゃかにょらい)立像は国指定重要文化財。

[櫻井明俊]

『『大洋村史』(1979・大洋村)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大洋」の意味・わかりやすい解説

大洋
たいよう
ocean

大陸間の水域の大区分で,独立した固有の大きさ,塩分,潮汐系,海流系を有する広く深い水域を一般にさす。大陸の対。大洋の区分は三大洋 (太平洋,大西洋,インド洋) を基本とするが,それに北極海と南極海を加えることもある。かつては両者を加えて五大洋とする場合が多かったが,南極海は本来三大洋とは自然的境界をもたず,南緯 67.5°,60°,55°などを人為的境界としていた。したがって南極海と北極海 (大西洋の一部と考える) を除く三大洋に分けることが多い。また北極海を大西洋と特徴を異にする独立した水域とする四大洋区分もある。大洋をさらに細分した閉鎖水域を海と呼ぶ。その細分には,海岸の輪郭,海底地形,潮汐系や海流系,大気循環の独立の程度,水温や塩分の水平分布と鉛直分布などが規準とされる。 (→海洋 )

大洋
たいよう

茨城県南東部,鉾田市南部の旧村域。北浦の北東岸にあり,東は鹿島灘に面する。 1955年白鳥村と上島村が合体して大洋村が発足。 2005年村,鉾田町と合体して鉾田市となった。メロンを中心とする畑作が主産業。鹿島臨海工業地域に隣接する地域として開発が進む。

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百科事典マイペディア 「大洋」の意味・わかりやすい解説

大洋【たいよう】

(1)大きな海洋。(2)その時代に,海面の広がりをもとに大洋として分類された有限個の海洋(部分)。現在では,太平洋,大西洋,インド洋が大洋とみなされている。
→関連項目大陸

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改訂新版 世界大百科事典 「大洋」の意味・わかりやすい解説

大洋 (たいよう)

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普及版 字通 「大洋」の読み・字形・画数・意味

【大洋】たいよう

大海。

字通「大」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の大洋の言及

【海】より

…海岸近くの入江や,浦,潟(かた)を海とするか湖沼と呼ぶかは,多分に従来の習慣によっている。
【海の地球科学】

[海の分類]
 海を分類するには,その位置や大きさ,形状,海水の特性などにより,大洋と付属海に分け,付属海はさらに地中海(大・小地中海),縁海に分ける。大洋とは太平洋,大西洋,インド洋の三つであって,その他の海は,いずれもこれらのどれかに付属させる。…

※「大洋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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