改訂新版 世界大百科事典 「シンガー会社」の意味・わかりやすい解説
シンガー[会社]
Singer Co.
アメリカの家庭用ミシンの大手メーカー。本社コネティカット州スタンフォード。1850年I.M.シンガーはボストンで初めて実用ミシンの製作に成功し,翌51年ニューヨークの弁護士クラークEdward Clerkと組んでI.M.シンガー社I.M.Singer & Co.を設立した。63年にはシンガー工業社Singer Manufacturing Companyと改称し,67年にグラスゴー,73年にモントリオールと工場を新設した。また下取制度や月賦販売制度を早くから導入し,これらの結果20世紀の初頭には,日本におけるミシンのシェアの90%を占めるなど,世界のミシン市場で圧倒的な地位を占めた。しかし第2次大戦後の技術革新の波に乗れず,また日本のミシン・メーカーの追上げを受け,業績が低下してきた。このため1950年ころからミシン以外の分野に進出,多角化を進めている。63年現社名に変更。94年,中国最大のミシンメーカーとの合併会社が上海でミシン製造を開始,同年ベトナムでも合併会社を設立。97年にはドイツのミシンメーカーを傘下に収めたが,99年連邦破産法に基づき破産を申請した。大幅な人員整理と工場再編を行い,再建に努めている。
執筆者:徳田 賢二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報