改訂新版 世界大百科事典 「ジュストコル」の意味・わかりやすい解説
ジュストコル
justaucorps
ルイ14世時代の宮廷貴族に用いられた丈の長い男子上衣。背から胴にかけて体にぴったりさせ,胴を細くしぼり,腰から裾にかけて優雅な広がりをみせる。両脇の裾にたたまれたひだは,後裾の背割とともに,乗馬の必要に由来する。この衣服の前身は騎兵や銃士のカザックとよばれる外套であった。前あきにはブレードやししゅうで飾られたボタンとボタンホールが密に並ぶ。ふつう胴のところだけを留め,従来のプールポアンが転化したベストをみせるようにした。襟なしの襟もとには,やわらかい布地のクラバットを結び,折り返された幅広いカフスからは,レースで飾ったベストの袖口がのぞく。ジュストコルは1670年ごろから登場し,18世紀にはアビという呼称にひきつがれる。上衣,ベスト,キュロットという男子服の基本型はこのころに確立された。
執筆者:井上 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報