改訂新版 世界大百科事典 「プールポアン」の意味・わかりやすい解説
プールポアン
pourpoint[フランス]
本来は西欧中世の兵士が鎖帷子(かたびら)の下に着た胴着の一種で,刺子(さしこ)仕立てを特徴とし,表布と裏布の間に綿や麻屑の詰物をして,合わせ縫いした膝丈の衣服。14世紀の初めころから上衣として市民服にもとりいれられ,16世紀から17世紀の中ごろにかけてすべての男子によって着用されるようになり,時代の流行に応じて,デザインもさまざまに変化した。16世紀には肩や胸をふくらませて男子の威厳をあらわした詰物も17世紀に入ると取り去られ,裂け目を入れて下に着るものを見せるスラッシュに代わってボタンが装飾用の価値を増してくる。世紀後半には,上衣としての役割を果たせないほど変形縮小され,結局はジュストコルの下に着るベストに転化していった。
執筆者:井上 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報