改訂新版 世界大百科事典 「ジリャン語」の意味・わかりやすい解説
ジリャン語 (ジリャンご)
Zyryan
ジリェーン語Ziryeneともいう。ウラル語族のフィン・ウゴル語派のフィン語系に属し,ボチャーク語(ウドムルト語)とともにペルムPerm語派を構成する。ジリャン語はロシアではコミ語Komiと呼ばれ,ロシア北西部のコミ共和国を中心にビチェグダ川の流域とメゼン峡谷に住む四十数万人が母語として用いている。コミ語をさらに分類すると,その中での主体はコミ・ジリャンKomi-Zyryan語と呼ばれるものであるが,南方のコミ・ペルミャク自治管区ではコミ・ペルミャクKomi-Permjak語が話されている。ジリャン人の言語学者リトキンV.I.Lytkinにより文法記述や言語の史的研究,方言調査が進められてきた。14世紀末ペルムの聖ステファンが古代ペルム語を表記するためにアブルAbur文字を発明したが,断片しか残っていない。
執筆者:小泉 保
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報