日本大百科全書(ニッポニカ) 「コミ語」の意味・わかりやすい解説
コミ語
こみご
Коми/Komi
ウラル語族のフィン・ウゴル語派に属する言語で、ウラル山脈の北西側にあるロシア連邦のコミ共和国で話されている。言語人口49万6000。コミ語と自称するが、ジリヤン語Zyryanともよばれていた。ウドムルト語とともにペルム語を形成する。コミ・ジリヤン、コミ・ペルミャク、ヤズバの3方言に分かれる。14世紀初めアブル文字という固有の文字で書かれた古代コミ語の宗教的文献がある。コミ語には、音声的に五母音[i,e,a,o,u]のほかに中舌母音ï[ɨ]とë[ə]がある。形態的に名詞は17格に変化し、所有語尾をもつ。動詞は人称と数で時制により変化する。たとえばnïv lïd′d′ë kniga-ës「少女が・読んでいる・本を・彼女の」となる。
[小泉 保]