改訂新版 世界大百科事典 「ボチャーク語」の意味・わかりやすい解説
ボチャーク語 (ボチャークご)
Votyak
ウラル語族のフィン・ウゴル語派の中でフィン語系に属し,ジリャン語(コミ語)とともにペルムPerm語派を形成している。ロシアではウドムルト語Udmurtと呼ばれ,ボルガ川の東の支流カマ川の東側と南側,すなわちウドムルト共和国を中心としバシコルトスタン,タタールスタン両共和国へも広がっている。言語人口は71万4000(1979)でそのうち76.5%が母語としている。ジリャン語にきわめて近く,南方言と北方言に分かれている。名詞は15格に変化し所有語尾をとる。nl-ed-les’〈娘・君の・から〉。なおは中舌の[ɨ]。動詞は現在・未来・過去・完了の4時制をもち,動名詞が発達している。文例:nl liddže kniga-es.〈少女が・読んでいる・本を〉。
執筆者:小泉 保
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報