日本大百科全書(ニッポニカ) 「ステンレス車両」の意味・わかりやすい解説
ステンレス車両
すてんれすしゃりょう
ニッケル、クロムを含有する不銹(ふしゅう)鋼材を、骨組と外板に使用した鉄道用旅客車。外板は波打形の薄板を使うのが一般的であったが、現在は平板のものが主流となっている。従来の旅客車に比べて無塗装、軽量化の効果が好評で、近代的旅客車構造の一手法としてアメリカを中心に普及した。一般の普通鋼製旅客車と重量を比較すると30~50%の軽量化ができる。日本では、1962年(昭和37)東急車輛(しゃりょう)製造(現、総合車両製作所)がアメリカのバッド社と技術提携してオールステンレス車両を製造したのが最初で、東京急行電鉄(現、東急電鉄)で採用された。また1984年から日本国有鉄道(国鉄。現、JR)の山手(やまのて)線でも日本独特の方式のステンレス車両が使われ、用途はアルミ車両と同程度に普及してきた。なお、ステンレス鋼は普通鋼に比べて3倍も高価なので、外板など主要部材のみステンレス鋼を使用し、普通鋼と組み合わせたセミステンレス車両もある。
[西尾源太郎]