改訂新版 世界大百科事典 「ストパード」の意味・わかりやすい解説
ストパード
Tom Stoppard
生没年:1937-
イギリスの劇作家。チェコスロバキア生れ。《ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ》(1967)によって一躍名声を得た。この劇は,シェークスピアの《ハムレット》をもとに,原作では端役にすぎないハムレットの2人の学友を主人公に据え,原作の世界を裏返しにした不条理劇である。題名は,原作の大詰めでイギリスからの大使が語るせりふの一節からとられている。この劇以後,《本当のハウンド警部》(1968),《跳躍者たち》(1972),《茶番劇》(1974),《ほんもの》(1982)など,既存の劇や文学への言及に富む作品を続々と発表した。言葉の意味や音についての極度のこだわりや劇芸術そのものについての反省に支えられた,知的で難解な作風で知られる。
執筆者:喜志 哲雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報